第27章 ナルシスト
そしてこの日の午後、いよいよある人物の授業が始まる。憂鬱になりながらも、クレアたちと昼ご飯を食べていた。
「ユウミ、元気ないわね?」
クレアにそう指摘される。
『ただ、憂鬱なだけよ。こんなことあなたたちにしか言えないけれど...』
「私も〜あの先生の授業は〜嫌だね〜」
エイミーがズバッと思ってても言わなかったことを言った。それに苦笑いしながらも、クレアたちも同意したように頷いている。嫌々ながらも授業のために移動をしていると、中庭にさしあたったくらいでこんな声が聞こえてきた。
「ポッター、君はサイン入り写真を配っているのかい?おい、みんな並べよ!ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」
「僕はそんなことしてない!黙れよ、マルフォイ!」
声を張り上げたドラコがそう言ったことで、中庭には近くにいた人が集まってきた。それにハリーはドラコを睨み付けて反論する。しかしそこにローブをなびかせながらロックハートがやってきた。
「一体何事かな?サイン入り写真を配っているのは誰かな?」
『私、行くわ』
嫌な声が聞こえたため、私はクレアたちに声をかけてから教室に向かおうとすると、クレアたちも私の隣に並んだ。
「ハリー、目つけられたんだね〜」
「そうみたいね」
エイミーとミアのそんな会話を聞きながら教室に着き、私は後ろに座った。それに続いて、クレアたちも座る。チャイムが鳴ってから、ロックハート先生とハリーたちがきた。ハリーたちは一番後ろの席に座ると、ハリーとロンの二人は教科書を積み上げて顔を見えなくする。
「皆さん、'闇の魔術に対する防衛術'の新しい先生を紹介致しましょう。...私です」
白くて綺麗な歯を見せつけるかのような笑みを浮かべながらウインクをするロックハート。それに前の方を陣取って座っている女子生徒達が黄色い声を上げた。例外は後ろに座っている、私とクレア,ミア,エイミーだ。
「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして'週刊魔女'五回連続'チャーミング・スマイル賞'受賞。もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」
ロックハート先生の言葉に苦笑いをした。男子生徒達は、呆れたような表情で見つめている。