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愛される少女【HP】

第25章 夏休み


「お役所はお忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を...残業代は当然払ってもらっているのでしょうな?」

そう言いつつ、ルシウスさんはジニーの大鍋に手を入れ、使い古しの擦り切れた本を一冊引っ張り出した。

「どうもそうではないらしい。なんと、役所が満足に給料も支払わないのでは、わざわざ魔法使いの面汚しになる甲斐がないですねぇ」

ルシウスさんは見下したように笑ってそう言った。それを聞いたアーサーさんの顔が真っ赤になる。

「マルフォイ、魔法使いの面汚しがどういう意味かについて、私達は意見が違うようだが」

「左様ですな」

ルシウスさんの視線が近くにいたグレンジャー夫妻の方に向けられる。

「しかしウィーズリー、こんな連中と付き合っているようでは...君の家族はもう落ちるところまで落ちたと思っていたのですがねぇ」

それをルシウスさんが言ったと同時にアーサーさんがルシウスさんに飛び掛かり、その背中を勢いよく本棚に叩きつけた。

「「やっつけろ、パパ!」」

「アーサー、ダメ、やめて!」

「お客様、どうかおやめを、どうか!」

フレッドとジョージの煽る声とモリーさんの叫び声、さらには店員さんのオドオドとして制止する声が聞こえてきた。私は何をしているかというと、あの騒動にみんなが夢中になっている間にある人物を探していた。

『あ!いた!ハグリッド!!』

「お?ユウミじゃねぇか!どうしたんだ?」

『ちょっと助けてほしいの、来て!』

私はハグリッドを引っ張っていく。そこにつくとハグリッドは何をしたらいいかわかったらしく、すぐに間に割って入ってくれた。

「やめんかい! おっさん達、やめんかい!」

アーサーさんは唇を切り、ルシウスさんは目を打たれたのか痣みたいなものができている。ルシウスさんの手にはまだジニーの教科書が握られていた。

「ほら、チビ。君の本だ。君の父親にしてみればこれが精一杯だろう...」

ルシウスさんはハグリッドの手を振り解いて捨て台詞を吐き、ドラコに目で合図をして出ていく。

「アーサー!あなたはなんてことを!」

「すまない、モリー」

「まったく!ハグリッド、ありがとう」

モリーさんがアーサーさんを怒りアーサーさんはとても小さくなって謝る。そして側にいたハグリッドにモリーさんが礼を言う。

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