第25章 夏休み
「...い!ユウミ!」
『え?』
熱中して本を読んでいたため、名前を呼ばれているのに気づかずにいた。隣を見ると、少し呆れたような顔のドラコがいた。
『ドラコ!この前ぶりね』
ドラコとは夏休みの間に2回程会っていたのだ。それがついこの前の事であった。
「あぁ。何回呼び掛けたと思ってるんだ」
『ごめんなさい、気づかなかったわ』
呆れ顔のドラコに申し訳なくて謝ると、すぐに許してくれた。そこから話を聞くと、どうやら父親と来たらしい。
「僕はそろそろ下に行くよ。ユウミは?」
『少ししたら行くわ』
気になった本をもう少し読んでから、下に行こうと階段を降りるとドラコの声が聞こえてくる。
「いい気分だろうね、ポッター。有名人のハリー・ポッターはちょっと書店に行くのでさえ、一面大見出し記事かい?」
ドラコがハリー達に対して突っかかっているようだ。それに怒りの声をあげたのはジニーだった。ロンの妹でウィーズリー家の唯一の女の子で末っ子である。
「ほっといてよ!ハリーが望んだ事じゃないわ!」
「おや、ポッター。ガールフレンドができたのかい」
口角を上げたドラコがそう返すとジニーは真っ赤になってしまった。そこへロンが来る。
「誰かいたのかい?なんだ、マルフォイか」
ロンは不思議そうにこちらに来たがドラコを見ると、まるで不快なものを見るような顔でドラコを一瞥して言った。
「ハリーがここにいるので驚いたっていうわけか、え?」
「ふん。ウィーズリー、僕は君がこの店にいるのを見てもっと驚いたよ。そんなにたくさん買い込んで、君の両親はこれから一ヶ月は飲まず食わずだろうね」
自分の髪の毛と同じくらい真っ赤になったロンがドラコに掛かっていこうとするがその前にロンのお父さまであるアーサーさんがフレッドとジョージと一緒に来た。
「ロン!ここはひどいもんだ。早く外に出よう」
そこへコツコツと足音をたてて一人の男性がやってきた。
「ドラコ、何をしている」
「父上っ...」
ドラコのお父さまである、ルシウスさんだ。
「これは、これは、アーサー・ウィーズリー」
ルシウスさんは息子そっくりな薄ら笑いを浮かべて静かに囁く。
「ルシウス」
「...ふん」
アーサーさんは嫌そうな顔で素っ気ない挨拶をするが、それはルシウスさんも同じだった。