第25章 夏休み
「続きを話すよ。マーレイ家の先祖のある魔法使いには愛する人がいた。しかしその愛する人は、ある魔法使いに酷い怪我を負わされてしまったんだ。死にかけている愛する人を見て、どうにかしたいと思ったときにその人がある呪文を作ったと言われている。その呪文がユウミの使った"セラペイア、パナケイア"なんだ」
まさかあの呪文がそのような経緯で作られていたとは...。驚きの連続であった。
「ここからが大事なんだ、よく聞いて。その呪文はマーレイ家の血が流れている人間しか使えないんだ。それはその呪文を使うには相当な上質な魔力を使うから。他の魔法使いには唱えても使うことは出来ない。でもこの呪文を使うと大量の魔力が必要になる。わかるね?この前、ユウミが目を覚まさなかったのはそのせいだよ。それからこの呪文は死に至るような重症なものを治すことが出来るんだ」
そういうことだったのか。あのとき眠くなったのは魔力が少なくなってきていたから。
「ユウミ、この呪文のことはわかったかい?セブルスにも言われた通り、この呪文は使ってはいけないよ。この呪文を使って眠りについてそのまま目を覚まさない可能性もあるんだ。特に重症の人を治したりするときにはね。わかったね?」
『はい』
部屋に戻ってきた私は呪文のことを考えていた。マーレイ家に伝わる癒しの呪文。この呪文なら、これから多くの人を助けることができる。でも眠ったまま目を覚まさない可能性もある。でもそんなのはやってみないとわからない。とにかく私は誰も死んでほしくないんだ...。
あの呪文のことをお父さまに聞いた日から数日経って、ホグワーツからの手紙が朝食のときに届いた。
『お父さま、お母さま、ギルデロイ・ロックハートの本ばかりだわ』
「そうか...」
お父さまもお母さまも少し、顔をしかめた。私もこの先生はあまり好きではない。それにこの偉業が嘘だとわかっているのだから。部屋で読書をしていると、エロールから手紙が届いた。エロールというのは、ウィーズリー家の梟で結構な年寄りだ。
息も絶え絶えのエロールのことはディニーにお願いして手紙を読むとロンからで、来週の水曜日にダイアゴン横丁に行くから一緒に行かないかとのお誘いとハリーからの手紙が来ないから私の方はどうかということが書いてあった。