第3章 新しい世界
意識が浮上してきたのがわかった。懐かしい夢だった。あれは今から十数年前の話だ。
あのあと扉をくぐった私は、目の前が暗くなり気を失ったのだ。しかし、ふと目を覚まし目を開けようと思ったが開けられず、怖がっているとなぜか泣き声がでてしまったのだ。そこで私は自分が赤ん坊になっていることに気づいた。それから暖かい腕に抱かれて安心したのか睡魔がきて、そのまま眠ってしまったのだ。
赤ん坊の頃は、思考がある私にとっては、恥ずかしさがすごかったがなんとかここまで来れたのだ。こうして昔を思い出してると、キーキー声がした。
「お嬢様、お嬢様、朝でございます!」
隣を見ると、屋敷しもべ妖精のディニーがいてこちらを見上げていた。
『ディニーおはよう。起こしてくれてありがとう』
体を起こしながら、ディニーの頭を撫でながら言うとディニーは泣いていた。
「お嬢様、お嬢様はお優しい、こんな私めにも良くしてくださる。私は、お嬢様に仕えられて幸せでございます!」
このディニーは、あの有名なドビーと同じ屋敷しもべ妖精である。私の生まれた家は、純血の家系であった。それに伴い家も大きく、体の弱い私のことを心配した両親が、ディニーを専属で私のお世話をするようにしてくれたのだ。
『私もディニーと出会えて幸せよ?着替えたら下に行くから、もう大丈夫よ。ありがとう、ディニー』
「もったいなきお言葉でございます!ディニーは失礼いたしますです!」
微笑みながら伝えるとディニーはまた、泣きそうな顔をしながらも元気に返事をして、部屋を出ていった。