第10章 襲来
「!!」
『…!』
泉「何してるわけぇ…!!」
『(泉さん…!)』
「お前…」
兄の手がコヨミの首から離れた
『ゲホッ、ゲホッ、ゴホッ…』
「モデルの…瀬名泉…か?」
泉「そうだけどぉ…。って言うかそんな性格してたとか…びっくりだよねぇ…」
「何のことかなぁ」
泉「さっさと退きなよ。そこから」
『(こんなに怒ってる泉さん…見たことない…)』
「お前には関係ないだろ…?」
泉「いいから…退け」
「誰に向かって口聞いてんだよ」
泉「さっきから教師たちが騒いでる。不審者が入ったって言ってねぇ。ここに来るのも時間の問題だと思うけどぉ?」
「……ちっ」
兄は舌打ちしてコヨミを見た
「また来るね…コヨミ…」
兄はそう言って出て行った
泉「ちょっと、大丈夫?」
『…っ』
差し伸べられた手に思わず後ずさりしてしまった
泉「………」
『ごめ…なさ…』
泉は若葉の腕を掴んで引き寄せた
そして優しく抱きしめた
『ひっ…』
泉「大丈夫だから…」
泉は若葉の背中を優しく摩った
泉「落ち着いた?」
『はい…』
泉は自分のブレザーを若葉にかけた
『瀬名先輩…』
泉「目のやり場に困るから羽織っといて……」
『え、あ…っ』
切られたブラウスに所々血が滲んで下着が見えている
泉「歩ける?」
『だ、大丈夫…です…1人で…』
立ち上がろうと足に力を入れるが、すぐに力が抜けてその場に座り込む
泉「はぁ…。掴っててよねぇ」
泉は若葉を抱きかかえた
『だ、大丈夫です…!』
泉「フラフラのくせに何言ってるわけぇ?いいから黙って掴ってなよ」
その後も無言で保健室まで連れて行かれた