第10章 襲来
「コヨミ…」
『…っ!!』
手には小さいカッター
『何で…カッターなんて…』
「覚えてるか…?これ見たときのお前の顔…恐怖で歪んだ顔が忘れられなくてなぁ…!」
『(イカれてる…)』
兄は若葉の腕を掴んだ
『いった…っ』
そして兄が覆いかぶさる
『やめ…っ!!』
「相変わらず白い肌だなぁ…」
ザッ…
『痛…っ』
頬を切られて赤い液体が零れ落ちる
「やっぱり綺麗だ…その恐怖の顔…白い肌…流れる血…」
『(声が出ない……どうしよう…!)』
「ほぉら…やっぱりあった…」
いつの間にか制服は切られて腕の傷が見えていた
「何で嘘なんかつくんだ…俺に会えて嬉しいだろ…?」
『…嬉しい…わけ…ないでしょ…!!』
「……」
『会いたくなんて…なかった…!!』
「その顔…その顔だ…流れる涙も綺麗だぞ…」
『触んないで!!!!』
室内に響くその声に兄の手が止まる
『(しまった…!)』
「コヨミ…今何て言った…?」
兄の声が低くなる
「今何て言った?」
『ひっ…!!』
さっきとは違う顔付きと声に震えが止まらない
『ぐっ…!!!』
首を掴まれ息ができない
『は…な…っ…』
「一緒に帰ろうコヨミ…そうすれば…もっと…」
『やめ…っ…た…助け…っ』
ガタンッ!!!