第9章 お手紙
若葉はみんなと別れて陣の元へ
『(最近お兄ちゃんの姿を見ないけど…あれから何かわかったかな…。聞きにいこう…)』
コンコンッ
『失礼しま…』
《〜♪〜♪〜♪〜》
『………』
陣「あ」
『佐~賀~美~先〜生〜…!!!』
今テレビに映っているのは昔の自分
アイドルとして輝いていたときのもの
ステージの上でキラキラと輝いていたあのとき…
『そのDVDは捨ててって言ったのに…』
陣「捨てれるわけねぇだろ~…。俺の大事な宝物なんだからな」
『全部捨ててやる…』
陣「…このときのお前は…輝いてたな…」
『…昔の話です……今は…もう…』
陣「でもたまに…歌いたいって顔してるぞ」
『!!…気のせいです。してません』
陣「もう声は出るんだし…歌えるんだぞ?」
『知ってます。いいんです、別に。そんなことより、お兄ちゃんのこと聞きに来たんですけど…』
陣「あぁ…あれから映ってねぇなぁ…。諦めたか?」
『まさか。あの人が諦めるわけないです。今までもそうだった…あの人は…悪魔だ』
陣は見ていたDVDを止めて若葉の頭を撫でた
『…!』
陣「大丈夫だ。たぶんな」
『たぶん……』
陣「お前が悪魔って言うくらいだ、何するかわかんねぇしなぁ」
『はい……』
陣「ま、気をつけて帰れ」
『……そうします。その前に…そこにある雑誌とDVD…燃やしていいですかね』
陣「絶対ダメ」
―――翌日―――
いつも通りに学院へ登校する
そしていつものように下駄箱から自分の靴を取り出した
『ん…?』
すると一枚の紙が舞い落ちた
若葉は拾って紙を見る
『…!!!』
そこには自分が写っている写真が
そして隅に小さく《もうすぐ会いに行くね》と書かれていた
『嫌…!!』
写真を落として辺りを見回す
『(もしかして…今もどこかで…!?)』
こんなことするのはお兄ちゃんしかいない
『(最悪…)』
朝から吐きそう…