第5章 新しいお友達
『りっちゃ…も…お…』
凛月が首から顔を離すと首筋から血が零れる
『いきなり…何するの…!』
凛月「兄者の匂いさせてる方が悪い…」
『開き直らないでよ…』
凛月「やだ…コヨミは俺の…」
『りっちゃんのじゃないし…ていうか若葉だし…』
凛月「えー…」
『痛いなぁ…もう…』
凛月「コヨミの血は甘くて美味しい…♪」
『これじゃ見えちゃうよ…』
凛月「いいじゃん、俺のってことー♪」
凛月は嬉しそうに若葉に擦り寄った
『(ネコみたい…)』
凛月「ねぇ…弾いてよ」
『…りっちゃんも弾こうよ』
凛月「…いいよ」
凛月と若葉は鍵盤の上に手を置く
~♪~♪~♪~
音楽室に音色が響き渡る
『(あ…久しぶりの感覚…)』
頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる感じ
体と感覚だけで動いている感じ
凛月「(ホント…別人になるんだから…)」
『(あぁ幸せ……音色が私を包んでくれる…)』
一曲弾き終わる
若葉は忙しく息をしながら一点を見つめる
凛月「(いつも何かに夢中になると…終わった後に放心状態…変わってないなぁ…)」
『………』
凛月「コヨミー」
凛月は若葉の頬を指で突く
『ふぇ!!あ、ごめん、ぼーっとしてた』
凛月「知ってる。昔からじゃん」
『えへへ…』
照れくさそうに笑う若葉に胸が締め付けられる凛月だった
『あ、そろそろ時間だよ。ほら、教室戻らなきゃ』
凛月「えー…いいよ…。俺はガーデンテラスで寝てるから…」
『だーめ。ほら、行くよ』
若葉は凛月の制服を掴んで音楽室を出た