第3章 浅葱色の哀愁
お礼を言いその史料を受け取ったとき
一瞬、違和感を覚えた
いつもなら眩しいほどの笑顔でこちらを見てくるのに、何故か今は俯き加減だ
「堀川?」
「はい」
顔を上げると現れた、大きくて綺麗な、明るく薄い藍色の瞳
いや、この色は…浅葱色かな
私を見つめるその目が、僅かに震え、滲み
「あ…れ? おかしいな」
頰に一筋の光が伝った
「す、すみません…! 何でもな…」
「何でもないことないでしょう?」
部屋を出る前はいつも通りだった
ここに帰ってくる前に何かあったとすれば…
「…清光と、何かあったの?」
躊躇う素振りを僅かに見せた後、小さく頷いた
「…大丈夫だと思ったんだけどな
意外と気持ちって抑えられないものですね」
胸に手を当てて、口が開かれる
「主さんと初めて話した時…記憶がなくなっても、思い出せなくなってるだけで本質は変わらないんじゃないかって、どこかで思っていました
でも本人を目の前にした時、何故か昔のようには呼べなかった
その時は何故だか分からなかったんですけど、さっき話しをした時に分かったんです」
『新選組の戦いは無駄だったんじゃ_____』
「清光が…そんなことを…?」
「はい…僕も信じたくなかったんですけど…」