第3章 浅葱色の哀愁
「陸奥守さんとお話ししたりしてて、そんな印象を持ってるみたいです
でも、これで確信に変わりました
今の加州清光は、昔の新選組の加州清光とは全くの別物
僕の知ってる『加州くん』じゃなくて、知らない刀なんです
…すみません…こんなこと言っても仕方がないんですけどね」
細い指で目尻をなぞり涙を拭いながら、笑顔を向ける堀川
でもその顔はいつものそれとは違いひどく痛々しい
「新選組は、最後はその形をなくしてしまいました
歴史の中で消えていった人達である事は変わりありません
でも、だからこそ、僕らが覚えておかなければいけないんです
忘れられるのはなかったことと同じ、残酷なことだから」
堀川がくるまで、清光の記憶のことは清光と私だけの問題だと思っていたけど、そうではない
周りの刀にも関わることだと今更気付く
私はなんて事をしたんだろう
「堀川…ごめん…
私の力不足で清光の記憶だけじゃなく、あなたたちの思い出も奪っていたんだね」
「っ…こちらこそすみません
主さんに怒ってるとかそういうわけではないんです
少し混乱して、抑えきれなくって…」
「ううん、堀川は謝らなくていいよ」
記憶が戻らない限り、清光は無自覚に昔の仲間の思いを踏みにじってしまう
それは清光にとってもむごいことだ
早く記憶を取り戻してあげないといけない