第4章 浅葱色の哀愁(2)
床には湯浴みの準備や着替えが置いてあり、布団もいつでも敷ける状態になっている
「何だかこの部屋、さっきまで誰かいたみたいだね」
「ははっ、だよね、俺もびっくりした
五虎退や前田達がすぐに休めるように準備してくれたみたい」
そういえばさっき会った秋田も、清光の武具を運んでたな…
短刀たちの早く休んでほしいという思いが伝わってくる
「みんなに愛されてるね、清光は」
「愛されてる、ねえ…なんだかくすぐったいや
俺は主に愛されればそれでいいんだけどね」
装具を全て外してシャツにベストと身軽な状態になった清光がストンと目の前に座る
前回と比べるとあまり疲弊していないようだし、無茶はしていないみたい
「無事に帰ってきてくれてよかった
今回の戦いはどうだった?」
「んー、敵は強かったけどさ、こっちも力では負けてなかったからね
小夜や陸奥守は何度か出陣してるから慣れたもんだったし、鶴丸さんなんか初陣にしては強すぎだったよ」
「そうなんだ、みんな頼もしいね
…堀川はどうだった?」
「堀川? しっかりまとめてくれてたよ、指示もたくさん出してくれたし」
隊長を始めて務めた堀川の様子を気にしていると思ったようで、隊長としての仕事ぶりを詳しく伝えてくれる
…新選組の刀としての堀川の姿は、清光の瞳にどう映ったのだろう