第3章 浅葱色の哀愁
薬研は入ってくると小夜の頭をくしゃくしゃと撫でた
「ったく…復讐だか復習だか知らんが、まぁた人を困らせてるのか」
「痛い…」
小夜は薬研の手を払いのけ、手ぬぐいで髪を拭く
薬研はそんな小夜を親指で指差しながら私に語りかけた
「大将、こいつのコレは標準仕様だ、気にしないでやってくれ」
「う、うん…?」
「でだ、頼みというか、提案があるんだが…」
そこまでいうと、白衣のポケットから紙を一枚取り出し机の上に広げた
紙にずらりと並んで記述されているのは何かの名前だろうか…
「この本丸の薬品庫を覗かせてもらった
大体のものは揃っているが、追加して欲しいものがいくつかある
万屋で買ってもいいが、やろうと思えば栽培できるものもある
その場合、畑を一部使いたいんだが__」
紙の上に細い指を滑らせながら、細かに説明してくれる
その案はとても合理的、現実的だ
「なるほど…じゃあこの区画を使って試しに栽培してみようか」
「なら必要なものはこちらで揃えておく
ありがとな、大将」
「ううん、こちらこそ
薬研は物知りだね、私薬草はさっぱりで…」
「名前はこうだが兄弟たちと違って、俺は戦場育ちでな
医術の心得が少しばかりあるだけだ」
「へぇ…すごいね!
薬研は今までどんな主の元にいたの?」