第3章 浅葱色の哀愁
「背負ってきたもの、失った仲間、武士としての誇り…全てを抱えて、新選組は自分の信じる道を最後まで歩み続けたんです
たとえ最後は敵の弾に散ったとしても、」
そこまで口にして、顔をあげた堀川の青い瞳が俺の方へ向けられた
「たとえ最後は病に倒れたとしても」
いや、俺に向けられているのか____?
目がしっかりとあっているのに
なんだこの、違和感は…
「…それぞれが紡いできた思いは消えないんです
少なくとも、僕たちの胸の中には残っているはず__」
堀川の細い指が俺の前に伸びてきて、胸をトンっと突く
「…『僕たち』……?」
暫しの間、沈黙が訪れたが
それは堀川がいつもの笑顔に戻った瞬間に破られた
「そう、僕とか、兼さんとかね!」
「あ__あぁね…」
「じゃあ僕、この史料を主さんのところに持っていきますね
一人でもちゃんとお部屋に戻れますか?」
「ちょっとー? 子ども扱いしないでくれる?」
さっきまでの雰囲気は何だったのか
ひらひらと手をふって堀川は主の部屋の方へと歩いて行った
この胸に残るもやっとしたものは何だろう