第3章 浅葱色の哀愁
「『日本の情勢 江戸時代・幕末編』…」
さっき陸奥守と話をしたあたりの時代だ
思わず手に取りパラパラと紙をめくっていく
本の中にはこの頃の幕府のこと、庶民のことのほか、陸奥守が話してた維新派のことが書いてある
そしてそこには「新選組」の文字もあった
「江戸時代終わり頃に京都で攘夷志士ら反幕府組織を取り締まった
後に旧幕府軍として戊辰戦争にも参加、終戦とともに解散」
最後には負けたってことだろうか…時代の流れについていけなかったというのはこのことのようだ
さらに紙を一枚めくると、幹部らしき人物たちの情報が載っている
局長の次に載っているある人物の名前には聞き覚えがあった
「あ…土方歳三…堀川の前の主はこの人か」
新選組に厳しい規律をもたらし「鬼の副長」とも称された…って、堀川のあの厳しさはもしかして前の主譲りか?
記述によれば、最後は函館で戦死したらしい
愛刀には和泉守兼定と堀川国広の文字もある
そしてまた紙をめくる
「沖田…総司……」
この人は堀川の口から聞いたことがない名前だ
「一番隊組長…そしてかなりの手練れ…か
多くの戦いで活躍するも病に倒れる…
愛刀には______」
「加州さーん」
本棚の陰から突然声がかかり、驚いた拍子に本を落としてしまった