第3章 浅葱色の哀愁
「いえ…変わらないなと思って…」
「ん? 何が?」
「あっ、何でもありません!
素敵な方だなと!」
少し大袈裟な気もするけど邪険な反応をされているわけでもないし…こういうやつなのかな
「ありがと
俺のことは好きに呼んでくれていいから」
「うん、じゃあ加州く……加州さんって呼ばせてもらいます」
「んじゃ、こちらこそよろしく」
俺が目を覚ましたこの日に会った堀川国広
彼の存在が本丸の…俺の生活を少しずつ変えていった
____________________
(あなたside)
「清光!? 何してるの!」
「主! おはよー」
早朝、庭から聞こえてくるザッザッという音に気づき外に出ると、部屋で寝ているはずの清光の姿があった
急いで草履を履いて側に駆け寄り、その手にある物を取り上げる
「あっ、ちょっと…どうしたの?」
「どうしたの、じゃないよ!
まだ傷も癒えてないのに寝てなきゃ駄目でしょ?
掃き掃除なんて私がやっておくよ」
「だーめ、これは近侍の俺の仕事だもん
主にさせるわけには…」
箒を取り返そうと清光の手が伸びてきたその瞬間
「主君ー!
加州さんが見当たらないのですが__」
「あ、加州さん! ここにいたんですね!」