第3章 浅葱色の哀愁
艶やかな髪を揺らしながらこちらに駆けてきたのは前田藤四郎
そして後ろから堀川が続いてやってきて、息を切らしながら口を開く
「朝餉の支度ができたので呼びに行ったら、加州さんいないんです
案の定主さんのところでしたね」
「まだ目を覚ましてから三日しか経ってないんですから、しっかり休んでください!
主君のお部屋の掃除なら僕がしますので」
私から箒を受け取った前田はテキパキと掃除を始めてしまった
私の部屋とその前の庭の掃除は近侍が毎朝行う日課の一つだ
清光は顕現した日から毎日欠かさず掃除をしてくれていた
怪我が完治するまではしなくていいと伝えたのに…やはり納得してなかったようで今も口を尖らせている
「加州さん、不服そうな顔
まだ仕事しようって思ってますよね、今度は逃がしませんから」
「やっとお前の監視潜り抜けられたと思ったのになあ…
いつも俺の部屋にいてさ…だいたい俺の見張りなんてしなくったっていいのに」
「それは私が堀川に頼んだんだよ」
「は!? 主が?」
清光のことだから放っておいたらきっと一週間もしないうちにいつも通りの仕事を始めてしまうだろう
誰かが見張って置かないと安静にしないのは目に見えていた