第3章 浅葱色の哀愁
みんなが語る加州清光
それはこの本丸では「加州清光」のありのままの姿だけど、きっと堀川の中の「加州くん」とは別物だ
「おかしいですよね?
主さん、あれは本当に加州くんですか?」
堀川から笑顔が消え真剣な顔つきになり、深い青の瞳が疑いの色に染まっていた
「…実はね________」
慎重に言葉を紡いで堀川に伝えていく
清光の記憶がないこと、それが私の力不足のせいだということ、この事情を私とこんのすけ以外知らないこと
きっとどれもが彼にとって辛い話で、私はひどく残酷な事を話しているのだと思う
全てのことを話し終えると、それまでじっと聞いてくれていた堀川の表情が陰った
「それじゃあ…加州くんは何も覚えてないんですね
僕らの事も、沖田さんのことも、新選組のことも…全部」
「突然こんな話して…ごめんなさい」
「でも加州くんに無理はさせられない…か
事情は分かりました
要するに、彼の記憶を刺激しないように接したらいいんですよね」
取り乱す事なく冷静に受け止めてくれる堀川に安心していたこの時、彼の中にある思いを軽んじていたのかもしれない
私はもっと彼を見つめるべきだったのに______