第3章 浅葱色の哀愁
「兼さん…?」
「土方さんが僕と共に使っていた打刀ですけど…この本丸にはまだいないみたいですね」
「うん…ちょっと事情があって仲間を集めるのに苦戦してるの
それにも関わることで堀川に話があって…」
いつかはこの本丸にも新選組ゆかりの刀が来るとは思っていた
昔の清光を知る刀剣男士だ、今までの仲間が入ってきた時とは違う
清光が目を覚ました今、彼の事を伝えておかなければならないと部屋に呼んだんだけど_____
「もしかして、加州くんのことですか?」
どういうわけか、堀川は私が話そうとしたことを当ててきた
「う、うん…そうなんだけど…どうして…」
「僕が来てから、本丸のみんなは僕にたくさんのことを教えてくれました
本丸の構造から内番や家事のこと、それに眠っている加州くんのことも
この本丸の初期刀で、頼り甲斐があって優しいって、口を揃えて言ってました」
みんなが清光のことを語る様子が頭に浮かぶ
この前の戦闘中の部隊の統率力や普段の面倒見の良さは、私よりも彼らの方が実感しているのだと思う
「でも、みんな不思議なことを言うんです」
『加州は流派は無いと言っていたがとても鋭い突きをする』
『加州さんはこのほんまるのあるじさまがはじめてのもちぬしで______』