第3章 浅葱色の哀愁
言葉にすることは叶わないその思いの代わりに、抱きしめる腕に力を込める
すると、清光の腕が私の背中に回って
「俺を信じてくれて…ありがとう」
傷が癒えないその体で、弱々しくも懸命に私の体を抱きしめてくれる
戦場で血の気が失せて冷えていた時とは違う、そのぬくもりを着物越しに感じた時
「加州さーん!!」
軽快な足音と共に明るい声が部屋に近づいてきた
それが聞こえた途端、清光が真っ赤な顔をして私の体から離れた
そして刀を再び刀置きに戻した瞬間に襖がすぱーんっと開かれた
「めをさましたときいたので、ぐあいをみにきました!」
「病人の部屋で大声を出すな
加州、こんのすけに茶を持っていくよう頼まれた
飲めるか?」
今剣とお茶を手にした骨喰に続いて、襖から二つの顔が覗く
「あの…失礼します…」
「加州さん、具合は大丈夫ですか?」
「五虎退、秋田まで…ありがとう」
この数日間、私だけじゃなくみんな清光のことを心配していた
ずっと付き添う私と共に代わるがわる看病を手伝ってくれて、その様子から清光がどれだけみんなに大切に思われているかを感じ取れた
それぞれが言葉を交わす中で、今剣が真剣な顔つきで清光に向き合った