第3章 浅葱色の哀愁
「清光は…弱くない」
「ううん、弱いよ
…主、刀取ってくれる?」
「刀?」
言われるがままに、刀置きに置いてあった「加州清光」を手渡す
「これは加州清光、俺自身…俺そのものだ」
「うん…そうだよ」
「だけどね…振り下ろした時、突いた時、違和感を感じるんだ
振りにくい、突きにくいってね
俺さ、扱いにくいだろうなあって自覚してたけど、まさか自分でも扱いきれないのかなぁ…なんて」
苦笑いしながら清光が刀身を鞘から出した瞬間、ある光景が思い浮かぶ
顕現した日に初めて見た、刃こぼれを起こし錆ついて輝きを失った刀身
あの状態が今の清光の本来の姿で、目の前で輝く刀身は見せかけのもの
清光はその違いを、戦いの中で感じとっていたんだ
「自分自身でさえ満足に扱えない…俺は弱いよ」
再び自分を弱いと責める
震えるその体を見ていられなくて、そっと腕を回した
「あ…るじ?」
本当は清光のせいじゃない、私のせいだ
記憶が足りずに顕現させてしまった、私のせい
「私は清光を弱いと思わない
清光がいたからみんな帰ってこれたし、私は生きてる
この本丸の刀の事を真剣に考えてくれて、私も守ってくれた
清光はこんなに頼もしい」
「主…」
「ありがとう、清光」
そして____ごめんなさい