第3章 浅葱色の哀愁
「今剣さ、岩融って薙刀に会いたいんだって
前の主の時代に縁があったやつらしい
だけど今のままじゃ再会するのが難しいことも分かってて、早く強くなりたいって思ってるみたい
あの日…今剣はいつもより強い敵を相手にできて嬉しかったと思う
強くなったって実感が欲しくて、怪我をしたあの時も退こうとしなかったんだ」
…知らなかった
普段はそんな素振りを見せなかったのに
でも、あの時の切羽詰まった表情を思い返せば…
あれは、今剣の想いの強さだったんだ
「俺は…分からないんだ
今剣が前の主や、ゆかりのある刀を想う気持ちとか…骨喰が兄弟を大切にしてることとか…
俺はそんな感情持ち合わせていないから」
清光は寂しそうに目線を下げた
…本当は伝えてあげたい
清光にも前の主と呼べる人がいたって、大切に思う仲間だっていただろうって
伝えてあげられたらいいのに
「俺にとってはここにいる刀剣が初めての仲間だから、力になれたらって思ったけど…
思いの半分も理解できないのに中途半端に肩入れしてさ…挙句こんな怪我して主に迷惑かけて…
俺も大概、弱いよなあ」
布団の端を握りながら呟く横顔が、悔しそうに歪んだ