第2章 一人、また一人
「ほうたいをしめなおすくらい、じぶんでできますよ!」
「主、怪我は無______」
清光が刀身の血を払って鞘に収め、こちらへ一歩踏み出した瞬間
「…あ、れ……?」
「清光…!?」
その体が、ゆっくりと傾く
体が地に着く前に駆け寄り、抱きとめた瞬間に異変に気づいた
体に力が入っていないし、目の焦点がぶれている
先程刀を受け止めた左腕の傷以外にも、遠目には見えなかった傷が全身に広がっていて
真紅の襟巻きがいつもより赤黒く見えたのは、出血で染まっているからだった
「あー……ちょっと…血、流しすぎたかな…」
「ちょっとなんてものじゃないよ…!
どうしよう、どこから止血すれば…
いや、この傷なら帰城した方がっ…でもみんなが揃わないと元の時代に帰れないし__」
「ぼくっ…ほねばみさんたちをよんできます!」
自分で包帯を巻き直した今剣が襖を開け放ち外へ飛び出していく
私も早く止血しようと持っていた包帯を取るも、手が震えて上手く巻けない…
これは、恐怖だ
清光がいなくなったら…そう考えるだけで怖くて怖くて、震えが止まらない
涙が溢れ出てくる
乱れた包帯を解こうとした手に、清光の手が重なる
「主…落ち着いて…
俺は、大丈夫だから…」
「っ…く……ごめ……ごめん…」