第2章 一人、また一人
「どう…して…主が謝るの? 謝らなきゃいけないのは、俺のほう
ここ…」
清光が手を添えたのは私の頰
触れてみると、自分では気づかなかったほど小さな擦り傷ができていた
いつの間に…蹴飛ばされた時だろうか
「こんなのっ…大したことない」
「女の子なんだから…顔が一番傷つけちゃいけないところなんだよ
守るって言ったのにね…だから、ごめん」
「っ…」
清光は、自分が怪我をしていても私の身を案じてくれている
清光は優しいから、きっと私がなんといっても自分のことは二の次
いつも清光が守ると言ってくれるけれど、私だって彼を支えなくてはいけない
今みたいに仲間もいなくて、二人きりだった時に既にそう決めたはずだ
「絶対、助けるから」
改めて、包帯を巻き直す
もう手の震えは消えたけれど、今度は触れている清光の体から血の気が引いていく
「…ありがと…主」
「清光……? 清光!? しっかりして!」
声をかけても、閉じられた目はびくともしない
これ以上血を失わせてはいけないと、止血する手を早めた時_____
カタリと襖が揺れた音がして
見上げた先に立っていたのは
「いっけない…こんなところまで入り込んじゃった
えっと、すみませーん!こっちに兼さん…和泉守兼定は来てませんか?
あっ、僕は堀川国広です」
新たな刀は戦力にもなり、仲間にもなり、
「堀川…国広?」
欠けた思ひ出の一部にもなる