第2章 一人、また一人
「ぐああぁあ!!?」
敵の刀がカランと乾いた音を立てて落ちた
刀を落とした敵の顔は苦痛に歪み、その胸に深く突き刺さっていたのは…
「これ…は…?」
見覚えがある鍔
加州清光の刀身そのものだ
清光の方を振り向けば、動作から咄嗟に刀本体を投げつけたのだと分かった
「良かった…」
息を切らし、安堵の笑みを浮かべこちらを見つめる
その背後に二つの影が迫っていた
「清光! 後ろに…!」
「分かってるって…!」
敵に正面から向き合った清光は、なんと左腕で直接刃を受け止め、右腕で敵の腕を捻りあげる
「うぁっ…重傷…かよ
さすがに上手に受けきれなかったか…」
「加州さん! えんごします!」
清光が左腕で受け止めた敵を蹴飛ばし、今剣がそれに飛び乗る
私も、何か______
「清光! これ!!」
私を襲った敵を斬った加州清光の刀本体
既に敵が消滅し畳に刺さっているそれを引き抜き、清光の足元まで滑らせる
「ありがと…!」
拾い上げられた刀はそのまま敵の胸へと深々と突き刺され
呻き声をあげて、敵は消えていった
「ふぅ……任務完了…かな」
「こっちもたおしましたよ!」
「二人とも、ありがとう
今剣は早く止血しよう」