第1章 出逢い
ふと、清光の視線が一点に定まる
「ん…? 主…それ、何?」
「あぁ! これね」
彼が指さしたのは私の傍に置いてあった風呂敷包み
これは昨日清光が眠った後に、用意しようと決めたもの
風呂敷を解き、中のものを広げる
「……着物?」
「うん、西洋の着物だよ
コートにシャツ、ズボンも」
昨日、万屋に行って取り寄せた
他の本丸の彼と同じ黒の洋服に赤い襟巻き、「加州清光」の服だ
「湯浴みしてからこれに着替えておいで」
「それ…俺の?」
「うん」
「なんで…」
「今着ている服は少し汚れてるでしょ
新しい着物が必要かなって」
ていうのは本当は建前で、
それもあるけど、なにより、周りの加州清光と同じように目の前の彼もオシャレが好きなんじゃないかと思ったから
「そっか…じゃあ、着替えてくるね」
服を受け取った清光は、そのまま風呂場へ向かった
顕現したばかりだからか若しくは記憶が曖昧だからか、今の清光からは感情が読み取れないけれど、気に入ってもらえただろうか
一人になった部屋でそんなことを考えていると、ふと障子の向こうから物音がした
「…誰?」
物音がした方向をじっと見つめる
すると障子がスッと開き、姿を現したのは___