第2章 一人、また一人
焦りがそうさせているのか清光の勢いが増している気がして、同時に二振りを相手にしているのにその動きには隙がない
対照的に今剣は傷を庇うあまり防戦一方だ
一振りを相手にするのがやっとらしい
………あれ?
最初にいた八振りのうち、三振りは初撃で倒して、清光が突いた一振りを合わせて四振り仕留めた
そして私の視界に入っている敵は三振り
「一振りいない………?」
私がそれに気がついた時
「あるじさまぁーー!!!」
今剣の目が私を___いや、私の後方を見据えていた
聞こえたのは何かが崩れる音
振り向くと後ろにあったはずの壁がなくて、代わりに敵の太刀と目があう
「伏せて!!」
清光の叫びに反射的に屈み、直後に頭上の空気が切り裂かれる音が聞こえた
次に感じたのは腹部の鈍い痛み
「きゃあっ…!!」
「あるじさま!!」
蹴り飛ばされたと気づいた時には再び敵が目の前に迫っていて
逃げなければと体を起こそうにも、鈍い痛みが体を支配する
視界の隅に、敵を倒してこちらに駆けてくる今剣が見えたけれども、きっと間合いには足りなくて
迫る刃をただ待ち受けるしかない
そう覚悟した
けれど_____