第2章 一人、また一人
「あははっ! 上ですよ!!」
宣言通り、今剣は初撃で二振りを仕留める
突撃に戸惑いつつも陣形を立て直しかけた敵が今剣に斬りかかろうするけれど____
「そうはさせるかっての!!」
今剣の背後に迫っていた敵一振りに清光が斬りかかる
「はぁっ…これで二対五か…さっきよりは多いけどやるしかないよね!」
「はい!」
言葉の通り清光も今剣も果敢に対峙する
目で追いつかないくらい動きは早くて、斬り合う相手もどんどん変わっていく混戦だ
だけど敵も先程の見張り兵とは違い随分と手強い
奇襲の利が失われてしまえば二人の力を合わせてもなかなか敵は倒せないようで、戦況は徐々に悪くなっていく
「ぐっ…! あと一振りでも減らせたらなんとかなりそうなんだけど…」
「そう……ですねっ!
このひとたちも…なかなかっ……しぶといです!」
「ほんとに………って今剣!?
背中のそれ…!」
今剣の切り裂かれた着物の下に背中に巻いた包帯
さっき止血したはずのその場所は、紅黒い血がじんわりと滲み始めていた
「傷が開いて___」
「だいじょうぶですよ……!」
「大丈夫ってお前……
……このっ!!」
傷を目にして汗を滲ませた清光が、自身の目の前に迫っていた敵の急所を突いた