第2章 一人、また一人
「上? っていうと…?」
「てんじょうからなら、ぼくがはいりこめますよ
ふたふりくらいなら、はじめにしとめられます!」
「じゃあ直後に俺がここから出る
人数さえ減らせばあとは斬り合いに持ち込める
主は…部屋の外にいると俺たちも守りきれないから、一緒に来て」
「分かった」
作戦を確認すれば今剣はすぐに天井裏へと向かい、清光も再び中の様子を確認している
無駄のない二人の動きからは、この一ヶ月の間に何度も同じような戦闘を繰り返してきたということが分かった
その様子に感心しながら、今剣が走っていく姿を見つめていると
ふいに掌にぬくもりを感じた
「清光…?」
「主、俺が襖を開けたらすぐに部屋の隅に向かってね
さっきも言ったけど何があっても俺が守るから…信じてくれると嬉しい」
私にそう伝えてくれたと同時に、清光が私の手を握り直した
その温かい手を握り返し、私を見るその目を見つめ返す
「うん、信じる」
返事をすると清光は一瞬だけいつものように笑ってから
すぐに表情を引き締めて、私の手を引く手とは反対の手で襖に手をかける
「行くよ」
言ったと同時に襖を開け放つ
清光と約束した通り部屋の隅に向かいつつ部屋の前方に視線を移すと、天井から飛び込み斬りかかる小さな影が見えた