第2章 一人、また一人
斬ってすぐに今剣は持ち前の脚力で塀に飛び乗り、狙いを次の敵に定める
本人の言う通り、中傷といえども雑兵に後れをとるようではないみたい
清光はと言うと一振り目を仕留めたと同時に背後を狙ってきたもう一振りの刃を受け止める
激しい鍔迫り合いになるかと思いきや、清光は相手の足を払いバランスを崩した敵が地面に叩きつけられ
その隙を逃さずに敵にまたがり刀を向ける
「ごめんね、今日は何が何でも勝たなきゃだから
型とかに囚われていられないんだよ…ねっ!」
清光が四振り目を倒した後にもういいよと合図を送ってくれたから、二人のもとに駆け寄った
「いまのがみはりだなんて、ぼくたちもなめられたものですね!」
「こーら今剣、油断は禁物
この先がボスってやつなんだから」
「そうだね、先に進もう」
そして三人で屋敷の最奥へと向かった
清光を先頭に私を挟むようにして今剣が後ろに並ぶ
入り口から廊下へ敵に気をつけながら進みつつ、清光が口を開いた
「中は普通の武家屋敷って感じだね」
「んー…? ぼくはこのじだいのぶけやしきにはなじみがないのでわからないです」
「あれ…そう言われると俺もこの時代の屋敷なんて馴染みはないんだけど…」
清光が立ち止まり顎に手を添えて考え込む
…骨喰の時と同じだ
ふとした瞬間にも失った記憶に触れる可能性が潜んでいる