第2章 一人、また一人
「いや、脇差の俺と短刀もう一振りで北に向かおう」
「分かった、あとは短刀二振りがどちらに向かうかだけ…ど……?」
清光が話し終わるより先に、今剣が清光の袖を摘んだ
じっと清光を見つめるだけで何も言わない今剣
ただそれだけでも、清光には何か伝わったようで
「今剣、俺についてきてくれる?」
「…はい!」
「じゃあ、僕は骨喰兄さんと一緒ですね…!」
「そうだな、頑張ろう
加州、俺たちも終わり次第そちらに合流する」
「ん、よろしく」
骨喰と五虎退が北へ走り去った後
清光が私の方へくるりと振り返った
「主は俺たちについておいでよ
絶対守ってみせるからさ」
「あるじさまには、ゆびいっぽんふれさせませんよ」
「二人ともありがとう
今剣は無理しないでね」
そして遅れて私達も西へと向かった
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加州を先頭に走り抜け辿り着いたのは一軒の武家屋敷
その近くの草むらに隠れ様子を伺う
門では四振りの時間遡行軍が見張りをしている
「…この人数なら正面突破でいけるね」
「はい、なんてことありません
いくさだいくさだー!」
言うや否や、草むらを飛び出し敵に斬りかかる
今剣の開戦の掛け声に対して敵は体制を整え始めたけれど、すばやく近づいた二人は初撃で一振りずつ仕留めた