第2章 一人、また一人
「…分かった、進軍しよう」
「あるじさま…! ありがとうございます!」
「主…しかし…」
「骨喰も分かってくれる?」
骨喰に視線を向けると、その顔は戸惑いの色で溢れていたけれどやがて___
「……仕方ない
主がそう決めたなら、俺は最善を尽くすまでだ」
「ありがとう」
完全に納得はしてないようだけど、ついてきてくれるみたい
今剣の応急手当を終えてからの戦況は、再び四人に任せる事になる
清光は既に敵の様子を伺っているようで、遠くを真っ直ぐに見つめていた
「加州、この先はどうするつもりだ」
「…敵の気配が二つに分かれてる
多分西側にいるのが主戦力で、北にいるのが補助ってとこかな
今剣の傷を考えると1つずつ倒して行く時間もないから、俺たちも二手に分かれよう」
「ならば俺と加州が西に行った方が良さそうだが…」
言葉とともに骨喰が短刀二振りに視線を移す
骨喰の言う通り、本来ならばこちらの主戦力である清光と骨喰が敵の主戦力と対峙した方がいいだろう
だけどそうなれば残りの短刀二振りで北へ向かうことになる
手負いの今剣と初陣の五虎退
敵が補助戦力とは言え、二人で向かわせるのは少し厳しいような…
清光達もそう考えたらしく、すぐに別の判断を下した