第2章 一人、また一人
「さいきん…ゆめをみるんです」
「夢?」
「はい
ぼくが「三条」のかたななのはおふたりともしっているとおもいます
そのなかでも「岩融」というなぎなたはぼくにとって、とくべつにたいせつなそんざいなんです」
今剣の口から出た「岩融」という名前
まだ会ったことはないけれど、過去の文献によれば確か…
「比叡山の僧、武蔵坊弁慶が所持していたとされる薙刀だな
そして武蔵坊弁慶といえば、今剣の元主である源義経の郎党として知られている」
「ほねばみさんのいうとおりです
その岩融がまいばんのようにゆめにでてくるようになって、はじめはうれしかったんです
でも、あさおきて、へやにひとりきりだと、だんだんとさみしくなってきて…」
「あぁ…それで俺の布団に潜り込んでたってわけか」
「はい…ごめんなさい」
今剣は悲痛な面持ちのまま俯く
普段はあんなに明るく見えても、この小さな身体で悩みを抱えていたんだ
この様子を目の当たりにしてもちろん何とかしてあげたいと思うけれど…
「でも岩融って、きっと簡単に見つかる刀じゃないよね…」
「おそらくそうだろう
俺たち三振りだけでは出陣回数も、進軍出来る時代も限られるからな」