第2章 一人、また一人
「はぁっ…っ…はあ……
お前…結構やるね…」
「っ…あんたもな」
「ちょっと休憩しよっか…」
二人で稽古場の隅に腰掛け、持ってきていた水を飲みながら言葉を紡ぐ
「出陣した時にも思ってたけど、やっぱり骨喰の斬り込みは鋭いね
さっきも何度かひやっとしたよ」
「あんたこそ、突きが凄く速い
幾度かの突きがまるで一つの突きのように見える」
「俺の突きが?」
「あぁ
あれは自然に習得できるものでもないだろう
前の主か誰かの影響か?」
自分では全くの無意識だったけれど、言われてみれば突きの方が得意な気がする
でも、俺には前に主がいた覚えもない
だけど骨喰が言うように、これは自然に習得できるものだろうか…?
まるで癖であるかのように、自然と突きを繰り出してしまう
この違和感は、なんだ_______?
何かが足りない…?
何かもどかしい
手元の木刀を見つめるけれど、答えが出ない
少し、頭が痛い気がする
「なんだ…これ…」
「…どうかしたか、加州?」
「……ううん、なんでも…ない」
よく分からないけど、深く考えない方がいい気がする
額に浮かぶ、稽古のとは違う嫌な汗を拭った時、こちらへ何かが駆けてくる音がした