第2章 一人、また一人
主がいつの間にか掃除してくれた稽古場
あの大きな空間を一人で掃除してくれたのが申し訳なくもあり、ありがたくもあり…
早くそこに行きたくて俺はいつもより急いで身支度をした
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稽古場は以前とは見違えるほどに綺麗になっていた
床は朝日を反射するほどに磨かれ、壁に掛けてある稽古用の木刀も新調されたもののようだ
思わず感嘆の息が漏れたとき奥にいた骨喰から声がかかる
「遅い、支度にどれだけかかってるんだ」
「俺にしては早い方なんだけど…ってうわ!」
俺の返答を聞くまでもなく骨喰は木刀のうちの一本を投げてきた
俺が受けとったのを確認すると、骨喰は俺のより少し短めの木刀を構えた
「勝負しろ」
「…いいねいいね、訓練大好き」
同様に俺も構えてしばしの静寂が訪れた後
「オラァ!」
「ふんっ!」
各々が強く踏み込み、木刀どうしが強くぶつかりあう
本物の刀剣であれば火花が散るであろうほどの勢いで
時折骨喰が間合いを詰めてきて、こちらが押されそうになる
だけど経験値は勝る俺もそう簡単には負けられない
斬り込んで、突いて、斬り込んで、突いて、突いて、突いて________
どれほどそうしていただろうか、気がつけば二人揃って滝のような汗を流し息を切らしていた