第2章 一人、また一人
「今剣、どうして最近自分の部屋で眠らないんだ
部屋に何かいるのか?」
「えっ! えっと……その…
なんだかこのごろさむくないですか!?
かしゅうさんのふとんにもぐれば、あたたかいかなって!」
「寒いって…もう春も終わる頃なんだけど」
「ええと…
あっ、ぼくきょうははたけとうばんでした!
きがえてきます!」
「あっ、ちょっと!」
呼び止める隙もなく今剣は部屋を出て行った
残された俺と骨喰は訳が分からず顔を見合わせる
「畑当番はいつも気乗りしないと言っていた気がするが」
「だよね…どうしたんだろ?
…ところで、骨喰は何か用事があって来たんじゃないの?」
「そうだ、主からの伝言だ
稽古場が使えるようになったから二人で手合わせをしてこいと」
稽古場____
そういえばここに来てしばらくして、本丸の中を一巡した時にそれらしき場所を見つけた
それらしきというのも、中は掃除されていないのか埃にまみれ、とても稽古場とは呼べない状態だったからだ
あそこが使えるということは…
「主…一人で掃除してくれたんだ」
「俺は気づかなかったが、そのようだ
馬当番はもう済ませておいた
先に行って待っている」
骨喰はそう言い残して去っていった