第2章 一人、また一人
「...」
「あ、だから火を使えって言ってるんじゃなくてさ…
過去を振り返ってばかりじゃなくて、俺たちには今があるんだって伝えたかったってわけ」
俺の言葉に骨喰は黙って耳を傾けている
機嫌を損ねてしまっただろうかと思った時、骨喰の口が開かれた
「そう...だな
ありがとう、加州清光」
「礼を言われることじゃないよ」
「...あんたが言うことは、どこか兄弟に似ている」
「ん? 何か言った?」
「いや...何でもない
...食事の準備、できる限り手伝おう」
その言葉通り、骨喰は食材を洗ったり切ったり、無理のない範囲で精一杯手伝ってくれた
おかげでいつもより手早く準備をすることができた
「主ー! 今剣! 夕飯できたよ」
「えっ、もう!?」
「わーい!! ごはんだごはんだー!
きょうのこんだてはなんですかー?」
「あれ...この匂い...」
部屋に入ってくると同時に主が香りに気づき顔をほころばせた
その表情を見た俺にも嬉しさが込み上げる
なぜなら...
「主、この前『カレー』ってやつ食べたいって言ってたでしょ?」
「うん、嬉しい...!
だけどよく作れたね? 作り方どころか、カレー自体知らなかったでしょ?」