第2章 一人、また一人
(清光side)
「はい骨喰、手拭い」
「あぁ、ありがとう」
畑仕事を終えた俺達は農具を片付け、井戸で手を洗った
「今剣、こっち向いて」
「はい! なんですか?」
「ったくもう…今日も顔汚れてるよ」
もう1枚の手拭いを広げ、今剣の顔の汚れを拭う
目を瞑り大人しく顔を拭かれたまま今剣が俺に問いかける
「どうしてかおまでよごれるんでしょう?」
「そりゃあ汚れた手で顔擦ってるからでしょ
お前が来てから土の付いた洗濯物ばっかだよ」
「そっか! きをつけます!」
無邪気に笑うから指摘するのも躊躇われるけど、同じやりとりを昨日もしている
「よし、綺麗になったよ」
「ありがとうございます!
それじゃあぼくはおせんたくにいってきますね!」
「うん、お願い」
手拭いを受け取った今剣は身軽に駆けていった
「さてと、いい時間だし、俺たちは夕飯の準備しよっか」
「食事の準備も俺たちがするのか?」
「そう、この本丸では畑仕事の他にも馬当番、食事、洗濯、全部自分たちでするんだ」
「...分かった
ただ、できれば食事の準備はしたくない」
「え...なんで?」
骨喰の顔を伺うと瞳に若干の戸惑いの色を宿していた