第1章 出逢い
「…あなたの名前は加州清光です
刀工は非人小屋で生活していたとされる___」
「それはなんとなく知ってる。さっき言ったでしょ、川の下の子って。
俺はたしか貧しい環境に生まれたんだ、だから着物もこんなでしょ。」
そう言って清光は自分の着物の袖を持ち上げた
説明は理にかなってるんだけど…
今まで目にしてきた加州清光と彼の姿は全く違う
もしかして就任したての私が知らないだけで、どこの本丸も最初はこんな感じなんだろうか?
「河原者と呼ばれていたその人が俺の生みの親。
で、あんたが俺の初めての主ってわけ?」
「えっ?」
「初めて」の主
確かに清光はそう言った
だけど、「加州清光」といえば彼には有名な主がいたはずだ
「沖田総司…」
「え?」
「新選組の沖田総司…」
「しんせん……?
おき…………っぐぁ!!!」
「清光!?」
突然頭を抱え、苦しそうに屈んだ清光
急いでかけよると、額からは大粒の汗がにじみ、さすった背中は震えていた
「どうしたの!? 大丈夫!?」
「っ……分からない……分からない。
ただ頭が…痛い……痛いよ主…!」