第2章 一人、また一人
(清光side)
数日前、俺が連れ帰った短刀
『今剣』
主は本丸が賑やかになったと言っていたけれど____
「あれ、俺のたすきどこいったんだろ
こんのすけ知らない?」
「はて、私は見かけておりませんが」
「あ、まさか…」
「わーーい!! あたらしいおもちゃです!」
「ちょっと! それ俺のたすきじゃん!!」
俺からすれば、どちらかというと騒がしい
「あれ、これ加州さんのものなんですか?」
「そうだよ
だから返し___」
「きにいったのでこれいただきますね!」
「はぁ!?
あっ、ちょっと! 逃げんな…!!」
短刀であるからか、今剣は途轍もなくすばしっこい
それに加えて悪戯っ子ときたから、毎日一緒に過ごすには骨が折れる
「わーーい!! きょうはおにごっこですね!」
「今日はって…ここんとこ毎日やってるだろ!
いい加減仕事しろっ…よっと!!」
「おっとぉ!」
逃げる背中に触れられるほどの距離まで追いついて捕らえようとするも、ひらりとかわされてしまう
そして今剣はそのまま木の上にひとっ飛びで着地した
「あぶないあぶなーい! つかまっちゃうところでした!」
「お前……はぁっ……速すぎ…」