第2章 一人、また一人
「それと…なんでこんなにボロボロなの?
やっぱり敵が強かった…?」
「だから焦りすぎだって、よく見てよ、これ」
困ったように笑いながら清光は自分の顔についた汚れを親指で拭う
その指先についているのは
「…土?」
「そう、おかげで主からもらった着物が汚れちゃった」
「でもなんで土が…」
「あー、それは…」
清光が何かを探すようにキョロキョロと辺りを見回す
つられて私も目線を辺りに向けようとすると、突然背中に何かが覆いかぶさった
「えっ!? なに!?」
「あなたがぼくのあたらしいあるじさまですか!?」
「だ、誰!?」
背中にしがみついたままのその何かが、耳元で大きな声で話しかけてきた
見かねた清光が私の背中からそれを引き剥がす
振り返った私の足元にいたのは小さな子供
「ぼくは今剣! よしつねこうのまもりがたななんですよ! どうだ、すごいでしょう!」
私を見上げて誇らしげに胸を張る
天狗を思わせる和装に紅色の瞳
一枚下駄でうまくバランスをとり、辺りを駆け回る
この子が…「今剣」
初めてみたその姿とありあまる活発さに呆気にとられる私の横で、清光が溜息をつきながら話し出す