第2章 一人、また一人
「…遅い」
遅すぎる
これだけの家事をこなしたのに、未だ帰ってくる気配がない
出陣してから何刻が経ったのだろうか…
もしかして二人の身に何かあった?
道に迷った? もしくは怪我をして帰れないとか?
まさかこの前みたいに記憶が___
最悪の事態が頭をよぎった瞬間
「ただいまー」
「! 清光!?」
待ちわびた声に急いで走る
門まで駆けるとこちらに向かってくる清光とこんのすけの姿があった
だけど、二人とも出発前より身なりが乱れている
「おかえり!」
「うん、ただいま
ははっ、急いで走りすぎ、転んだらどうするの?」
「だって心配だったから…
清光、現地で身体に異変はなかった?
何かつらい思いをしたりは…?」
「別に…何もないよ? どうしたの、主?」
自分でもあまりにも直球な聞き方をしてしまったと思うけど、返事を聞いて安心した
少なくとも新選組に関わる清光の記憶が無理矢理呼び起こされるようなことは無かったようだ