第2章 一人、また一人
今後のことを思えば確かにいま出陣をすべきだろう
だけどどうしても、初めて会ったあの日の清光の取り乱し様が思い出される
あれ、そういえば…
こんのすけは清光の記憶が欠けてることは知ってるけど
あの日清光が新選組や沖田総司の名前を聞いて頭痛を引き起こしたことは伝えてなかったような…
今までの会話を思い出そうとして、ふと背後から声がかかる
「主、洗濯するもの出してって…
ってごめん、取り込み中だった?」
「清光!」
私の後ろには洗濯かごを手にした清光がポカンとした顔で立っていた
「何の話してたの? もしかして出陣とか?」
「は、はい…今しがた伝令が入りまして」
「ふーん…なんて?」
「維新時代の函館にて時間遡行軍が出現…
敵の狙いは新選組で____」
その言葉を耳にした途端、心臓が跳ねた
やっぱりこんのすけに初日に起きたことを伝えていなかったんだ
「こんのすけ! だめっ…!!」
隣にいるこんのすけの口を反射的に手で覆った