第4章 浅葱色の哀愁(2)
銃ならこの距離でもと思ったけど
「ええい、邪魔じゃ…狙いが定まらんろう!」
敵の中にはさっきの残党も混ざっているから、陸奥守さんの銃には警戒しているようだ
そうこうしている間にも小夜さんは疲弊していく
敵は確実に一人ずつ潰そうとしているのか
「小夜坊は俺に任せておけ!」
成す術もない僕らに代わって鶴丸さんが自らの目の前の敵を斬りつけ、僅かに怯んだ隙を狙って一気に小夜さんの前の敵を背後から突き刺す
「予想外だったか?がら空きだぜ!」
言葉とともに太刀を引き抜き、敵は力なく崩れ落ちた
隣にいた大太刀の遡行軍が力強く振り上げた刃も鶴丸さんはひらりとかわす
そのまま小夜さんを片手で抱き上げ、高く跳ねて下がった
「大丈夫か、傷が酷いなら後ろへ下がっておけ」
「…問題ないよ、復讐の相手が見つかった
僕を怒らせたんだ……! 当然だよね!」
フラリと立ち上がり、瞳を暗い色に染めた小夜さんが、敵の懐に入っては急所を突く
陸奥守さんはと言うと、敵味方が入り混じる戦いの中で銃を使うことを諦めたらしく打刀を構えていた
「今更やっとうの稽古をしても仕方ないと思っちょったが、こがな状況で役に立つとは!」
日頃銃ばかりで戦っているから剣の腕は如何程かと思っていたけど、傷一つ付けることを許さないその技量は確かなもののようだ