第4章 浅葱色の哀愁(2)
「ではここで確実に仕留めた方が良さそうですね
問題はどう攻め込むかだけれど…」
「いーや、考えちゅう暇はなさそうじゃ」
陸奥守さんがそう言うや否や、あたりに木が軋み割かれるような音が響く
衝撃に伴う空気の振動が頰を走り、反射的に閉じた瞼を開けると、小屋の扉を蹴破り飛び出してくる無数の影が映った
「まずい、気づかれましたね」
「おおっと、さっきより多いな
しかも奇襲の利が使えないとは…」
「結構やばい状況なんじゃない? これ」
加州くんが危惧するように、最大の敵を前に僕たちは追い詰められてしまったようだ
敵の数はさっきの倍はあるかな…それに敵の動きにとらわれて、鶴丸さんや陸奥守さんそれぞれと少し距離が離れてしまった
加州くんと僕は少し近くにいるけれど、個々の戦いになった時に危ないのはきっと___
「小夜!!」
加州くんが叫んだ先では、大太刀や薙刀といった大振りの刀に小夜さんが囲まれている
大きさもだが、五振りという数からも到底敵うわけがない
「っ…痛くないさ」
一時的に応戦はできても長くはもたない
その証拠に体には赤い線が刻まれていく
「くっそ…こいつら強いんだけど……!?
どけろ!!」
加州くんも僕も敵に止められ、なかなか小夜さんに近づけない