第4章 浅葱色の哀愁(2)
兼さんなら同感するだろうか…少なくとも僕には性に合わないのかな
自分が予想しなかったことか…
建物越しに見える林の中の加州くんの姿が見え、この本丸で初めて記憶のない彼に出会った時は予想外だったかも、なんて考える
でもあれはあまり嬉しくない「驚き」だった
「君はやけに加州を気にしているようだな」
「えっ…そんなことは」
「ないことないだろう?
無意識なのか知らんが、目が追っているぜ
…その眼差しは、俺には何かを期待しているようにも見えるな」
「期待?」
鶴丸さんはニヤリと笑い、人差し指をピンっと立てながら続ける
「いいか堀川、驚きとはな心待ちにせずとも訪れるものだ
まあ俺のように意図的に仕掛けるやつもいるが…大きな驚きの中には仕掛けた相手すら無自覚なものもあるもんだぜ
それが必然か偶然かは分からんがな」
「…何ですかそれ、余計に分からなくなっちゃいました」
「分からない方が面白いかもな」
混乱する僕をよそに、鶴丸さんがあっけらかんとした笑みを浮かべる
追及したいところだけど、三人が戻ってきたし、敵を目の前に話ばかりしているわけにもいかず…
「ぐるっと一周見てきたけど、入れる場所はなさそうだったよ」
「上から見た感じ、ここの外はさっきと違ってひらけているから、逃げられると厄介だ」