第4章 浅葱色の哀愁(2)
「__さっ、行きましょうか」
「うん……あ、小夜」
僕らが遅れているからだろう、小夜さんが逆戻りしてやってきてくれたみたい
「やっぱりこっちの道で合ってましたね」
「二人とも…遅い
もうさっきの残党が本隊と合流した」
「じゃあ早く向かわないとね」
僕らと鶴丸さん達がいる場所との距離はそこまで遠くなかったようで、しばらく走ればすぐに合流できた
「お、来たか
おんしら遅いぜよ」
「すみません、遅れてしまって」
小夜さんの案内で辿り着いたのは、小さな廃屋
随分長らく使われていないようで、朽ちた木材の間からは遡行軍の姿が見え、入り口には見張りのように槍が二人構えている
入り込める場所はないかと加州くんと陸奥守さんが裏手を探りに行き、小夜さんは木の上に隠れて上から様子を見るという
残された鶴丸さんがしゃがみこみ頬杖をつきながらため息を一つついた
「全く…こういう本陣でございと言いたげなのはどうなんだ
驚きが足りんな」
「鶴丸さんはどうしてそんなに驚きにこだわるんですか?」
「人生には驚きが必要なのさ
予想し得る出来事だけじゃあ、心が先に死んでいく」
「心が…」
「あぁそうさ
自分が予想もしなかったことが起きたら、胸が踊らないか?」
「うーん…よく分からないです」