第4章 浅葱色の哀愁(2)
「堀川のさっきの戦いぶりが気になってさ
言葉を選ばなければ、無茶苦茶にも見えるのに強くて驚いたというか…」
「そういう流派ですからね、天然理心流は」
「天然理心流…?」
「剣術だけではなく、居合や柔術なども取り入れた実戦のための武術です
新選組の幹部の中にはこの流派の人がいました、土方さんも」
加州くんの元主、沖田さんだってそうだった
「戦い方は卑怯だとも、田舎剣法とも言われました
でも天然理心流は、実戦の中で確かに活きて、幾度も死の局面を乗り越えてきたんですよ」
どうか、思い出して
「例えばこうすれば…」
右足を少し出して半身に構え、手に持つ刀は少し傾け
「突きを出した時、この体制なら___ほら」
一気に踏み込み、加州くんの細く白い首筋に刃を添える
「すぐに急所が狙えます」
もちろん、本当に斬るつもりはないけれど
首元に刃物を向けられて黙っている人もいないわけで、加州くんは素早く刀を抜き僕の刀を弾いた
「…すごい殺気だけど」
「仲間を斬るわけないじゃないですか」
殺気なんて向けたつもりはないんだけど
僕の中には彼への怒りでもあるのだろうか
「今は受け止められていましたけど、僕が本気を出せばきっと___」
止められないよ、今の君には