第4章 浅葱色の哀愁(2)
「ちょっ…堀川何して…!?」
制止もやむなく、堀川のその切っ先は胴を貫く
ただ、それは陸奥守の背後に迫り太刀を振りかぶった遡行軍の胴体だった
「銃声の数からするに、そろそろ弾切れでしたよね?
それにこの距離だと狙いを定めて引金を引くよりも、早く済みますし
危ないところでしたね」
「恐ろしいやつじゃあ、よーぉ分析されちゅう」
堀川が軽く笑みを浮かべながら再び斬り合いに戻り、弾を詰め替えた陸奥守ももう一度銃を放ちはじめる
どうしてだろう、みんなそれぞれが強いはずなのに
荒々しくも隙がない堀川の闘いぶりは、やけに俺の瞳に焼き付けられる
「さあて、粗方は片付いたようだぜ
小夜坊、どこを見てる?」
「あぁ…少し逃げたようだと思って…」
「あいつらにも本拠地があるだろう…このまま案内してもらうとするか」
逃げた奴らの姿が消えないうちに、駆け出していく鶴丸さんや小夜たち
「僕らも行きましょう、加州さん」
「あ、うん…
あのさ…堀川」
「はい?」
呼び止めたはいいものの、何か言いたいことがはっきりあるわけではない
どうして、おれはこんなにも気になっているんだ?
それを知ってか知らずか、堀川が俺に告げる
「新選組の戦いはこの強さ、誇りをかけたものです
その戦いは、無駄じゃないでしょう?」
行こうと俺の手をとる堀川に体は引っ張られながらも、頭は堀川の言うことに追いついていけてないような気がした