第4章 浅葱色の哀愁(2)
三人は俺たちの隠れている方向…つまり唯一開けている一本の道の方へ走り出す
「やはりこの人数では太刀打ちできんかったな…」
「ええ、一旦引きましょう!」
多勢を前にした少数の敗走、戦では当たり前のことだ
でも、これは見せかけているだけ
三人だけならきっと追っ手はくる
しかも、この限られた道に向かってわざわざ分散することなく敵は集まってくれるから
「今じゃあ!
よぉ狙って……ばん!」
「よーし、おっぱじめるぜぇ!」
そこを叩けば、この人数でも有利になるってわけ
俺たち二人の突然の攻撃に、敵は翻弄され統率を失っていく
「さて、俺たちもやり返すとするか」
「うん」
「はい!」
負けたふりをしていた三人も、まだまだ戦える
一気に攻撃すればこちらにも勝機があるが、この機を逃せば形勢は揺らぎかねない
「この調子なら勝てますね!」
「気は緩められんがな!
そら、遅い遅い!」
鶴丸は太刀だけあって敵を一気になぎ倒していく
小夜や堀川は小回りが利く動きで敵も追いつけていないようだ
その彼らに迫る別の敵すらも一つの銃声が消し去る
「危ないところじゃったのぉ、堀川
銃は剣より強し、じゃ!」
「陸奥守さん…」
堀川が少し面白くなさそうな顔をしたと思えば、突然陸奥守に向かって刃を向ける